科学技術イノベーションとデザイン思考、そして、科学コミュニケーション

現代において、科学と技術は別物ではなく(科学技術)扱われ、さらに、それらに基づいたイノベーション(科学技術イノベーション)が求められています。そんな中、イノベーション創出や課題解決に用いられる「デザイン思考」や「インクルーシブデザイン」といった思考法や概念が科学技術の文脈でも注目されています。

これらの思考法や概念については、以下のネット記事も参考になります。

「デザイン思考」と「インクルーシブデザイン」について、平井康之先生の研究室ウェブサイトでは、以下のように説明されています。

デザインシンキングとは人々のニーズや問題を、デザイナーの感性やメソッドを使い、技術的・ビジネス的に実現可能なかたちで解決するアプローチです。言い換えれば、デザインシンキングとは人間中心のイノベーションなのです。(IDEO CEO ティム・ブラウン氏の言葉)

インクルーシブデザインは“人々とともに考える“、つまり「コ・デザイン(co-design)」の考え方であり、製品の企画やニーズの模索の時点、初期段階から多様な人々に参加してもらって一緒に考えていくアプローチを取っています。

加えて、デザイン思考については、文献[1][2]も参考になります。

さて、デザイン思考が科学技術でも注目を集め始めたきっかけの一つに『平成25年度版 科学技術白書』が挙げられます。そこでは、科学技術イノベーション実現のための人材育成の重要性が説かれ、東京大学i.school九州大学QRECが紹介されています。

また、最近では科学コミュニケーションとデザイン思考の関係性も深まりつつあります。その背景には、「対話」の先にイノベーションや課題解決があるのか、といった疑問が湧き出ている状況があります。

デザイン思考は、“科学技術イノベーションを起こす過程”としての科学コミュニケーションをより有効なものにしてくれるかもしれません。新しい潮流として、引き続き注目したいです。

一方で、科学コミュニケーションは「対話」自体が目的でもある側面を持っています。したがって、課題解決やイノベーションに囚われすぎると、科学コミュニケーションから“はがれ落ちてしまうもの”があるようにも感じてしまいます。

その“はがれ落ちてしまうもの”は、「科学を文化に」という、科学コミュニケーションが持つ壮大な目的にも絡み合っている気もしています。

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