科学コミュニケーションにおける「専門家」と「非専門家」

科学コミュニケーションが目指しているものについて、文献[1]では、

非専門家の「知識」や「考え」を正当にとりあげ、専門家と非専門家とが対等に(双方向的に)対話できるようにする-科学技術コミュニケーションは、これを目指しています。

と説明しています。ここで登場する「専門家」および「非専門家」とは誰のことなのでしょうか。今回のブログ記事では、科学コミュニケーションにおける「専門家」と「非専門家」について考えます。

科学コミュニケーションにおける対話は多様
科学コミュニケーションは、必ずしも一般市民(非専門家)と研究者(専門家)の間で行われるわけではありません。下図は、科学コミュニケーションの多様性を表した図です(文献[2]中の図を参考に作成)
sciencecommunication.png
図中の矢印が双方向的なやりとり、つまりは科学コミュニケーションを表しています。図から分かるように、科学コミュニケーションは(科学技術の)非専門家同士(関心が高い層/低い層)でもあり得るのです。

その場合は、話題についてより深く関わっている方(より多くの知識をもっている、より近い分野で働いているなど)が「専門家」ということになります。

また、科学技術の専門家も、「非専門家」になる場面が往々にして存在します。

研究者間での科学コミュニケーション
現代の科学技術は非常に細分化されており、全ての分野に精通している研究者はいません。したがって、研究者も場面によって、「専門家」にもなるし、「非専門家」にもなります。下図は、研究者間の科学コミュニケーションを分類した一例です(文献[3]より)
sc.png
研究者でも、異なる分野の研究者と対話する場合は「非専門家」になります。さらに、同じ分野の研究者同士でも、話題によって、どちらか一方が「非専門家」になる場合も多いです。

「専門家」と「非専門家」と意識した科学コミュニケーション
これまでで見たように、話題と相手によっては、誰しもが「専門家」にも「非専門家」にもなり得ます。

そのことに自覚的になり、その話題や相手(「文脈」などと表現されることもあります)によって、使う言葉や説明のステップを選ぶことが科学コミュニケーションにおいて大切なことなのだと思います。

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